別記事において、資産形成シミュレーションのスタート(運用資産)を100万円としています。実際にトレードで生計を建てようと思ったら、最低これくらいの額は必要だと思ったからです。
損切りレートを資産の1%とする場合、1回の損切りで1万円減ることになります(以後損切りを繰り返す度に損切り額は少しずつ減っていく)。「分析/検証を行ったもののまだリアルトレードで実績を上げてない」という段階で、1万のリスクを取ってトレードするというのは、人によってはトレードに何らかの影響を及ぼしてしまう(エントリーを躊躇したり、利確が早くなったりする)額だと感じます(こればかりは人それぞれ所有資産や性格、人生経験によって千差万別だと思いますが…)。
特にリスクリワード高めで低勝率のトレードスタイルの場合、いきなり複数連敗することも十分考えられるので、損切りを繰り返す度に減っていく資産を見て不安になって検証どおりのトレードができなくなるおそれがあります。
そこで本記事では、メンタルの影響を受けないトレードを継続して行うための取引資産の増減方法について記したいと思います。
最初に決めるルール
・1回あたりの損切り「額」
・1回の損切り(損切りレート)で、運用資産に対して何%の損失にするか
→この2つが決まると開始額が決まります。
設定時のポイント
仮に10連敗くらいしても(=損切り額(円)×損切りレート(%)×10の資産が失われても)、金額的に「まあいいや」と思えるくらいの額を損切り額に設定すれば、少なくても直近のトレードのリザルトが目の前のトレードに悪影響を及ぼすことはないだろうと思います。
設定例
例1:1回あたりの損切り額 = 1000円、損切りレート = 1%以下の場合
→ 100000円(1000 [円] ÷ (1/100) )
例2:1回あたりの損切り額 = 10000円、損切りレート = 2%以下の場合
→ 500000円(10000 [円] ÷ (2/100) )
次に決めるルール
・資産を増やす条件(+○万円 or +○%の利益)
・運用資産に加える入金額(トレードで得た分は引く)
設定意図
実際にトレードを行ってある程度の利益が出たら、損切り額が増えても心理的には余裕が生まれてくることかと思います。
そこで、あらかじめ決めておいた条件を満たしたら取引資産を増加させ、1回あたりの損切り額を増やすべきだと考えます。
ここでポイントなのは、入金したことで新たに決まる1回あたりの損切り額が、入金前の1回あたりの利益を上回らないことです。1回あたり10000円平均で利益を得ていた場合、損切り1回あたりの額が10000円を上回らない程度で入金額を設定するべきだと考えます。
設定例
例1:資産を増やす条件:+10%以上の利益を得た時、追加入金額:10万円(他条件は上記例1継承)で、運用資産10万が→11万2000円(+11.2%)になった
→ 88000円追加入金(100000 - 12000)して運用資産を20万円にする
※10万入金して212000円スタートでも良いが、初期額10万に対して10万入金とするほうが、次の目標設定を立てやすい(キリがいい)
例2:資産を増やす条件:+20万以上の利益を得た時、追加入金額:30万円(他条件は上記例2継承)で、運用資産50万円→71万円(+21万円)になった
→ 90000円追加入金(300000 - 210000)して運用資産を80万円にする
合わせて設定しておくルール
・資産を減らす条件(-○万円 or -○%の損失)
・運用資産を減らす額(トレードで失った分は引く)
・1取引あたりの最大ロット(運用資産額ごとでそれぞれ設定)
設定時のポイント
個人的には、減らす条件と減らす額は「増やす時の条件の逆」を設定すればいいと思っています。最大ロットに関しては任意に設定するといいと思います。
設定例
例1:資産を減らす条件:-10%以上の損失を被った時、出金額:10万(他条件は上記例1継承)で、運用資産30万が→26万9000円(-10.3%、-31000円)になった
→ 69000円出金(100000 - 31000)して運用資産を80万円にする
例2:資産を増やす条件:-20万以上の損失利益を得た時、出金額:30万(他条件は上記例2継承)で、運用資産110万が→90万0000円(-20万円)になった
→ 100000円出金(300000 - 200000)して運用資産を80万円にする
このルールを実行する上での目的
損失・利確による感情がなくなり、淡々とトレードできるようになること
利確してうれしい、損切りして悲しい(イライラする)という感情は、トレードする上において邪魔な感情だと考えます。
理由は単純で、その感情がトレードに悪影響を与えるからです。
このルールで利確と損切りを繰り返していく過程で、まずは「損切り額が利確額を上回っていることで資産は増えること(もちろんあまりに低い勝率だとそれは実現しませんが)」と「一貫したトレードを行っていれば破産することはない」ということを文字レベルでなく定量的に腹落ちさせられればいいかなと思っています。
上達に至るまでの余計な損失を極力減らすこと
ひとまず検証によって優位性があると判断してリアルトレードに取り組み始めても、最初のうちは(特に)時間軸の感覚の違い(検証だと一瞬で数分、数時間経過するが、現実はそうでない)などから検証通りにいかず(例えば、必要以上にポジションを取ってしまうなど)、損失が多くなることは避けられないと思います。
そういった成長過程におけるいわば「無駄な」損失は極力減らしたいので、上達するまでは低額で運用することがいいと考えます。
本当にトレードスキルが上がってくれば(もともとスキルがあれば)、このルールにおいても勝手に運用資産が増えていくはずです。逆に、トレードスキルが足りなければ、ずっと低ロットかつ低運用資産で取引し続けることを強いられるはずです。
「規律」を守り続けられるようになること
一時的に損切りが続いたから次ちょっとロット上げる(=逆指値に達すると損切りレートを超える損失になるようなトレードをしてしまう)…というようなことをやっていると、いずれ大きな損失を被ることになるだろうと思います。
運用額が大きくなる前に、トレードルール以外にも上記のような規律を作ったら守りきれるようになる…ということはとても重要だと思います(これが意外と難しい)。
参考:運用例
設定値(運用ルール)
- スタート時1回あたりの損切り額
- 2000円
- 損切りレート
- 最大1%
- スタート時運用資産
- 200000円
- 資産を増やす条件
- 運用資産+10%以上達成時
- 運用資産に加える入金額
- 100000円(下表「目標達成時入出金額(概算)」参照)
- 資産を減らす条件(
- 運用資産-10%以上達成時
- 運用資産を減らす額
- 100000円(下表「目標達成時入出金額(概算)」参照)
- 1取引あたりの最大ロット
- 下表「最大ロット数」参照
入出金額(概算) |
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さいごに
「月1ペースで運用資産額を上げていく」(=月利10%目標)などを目標として設定するのはいいと思いますが、そのような目標を立てた際、目標達成を意識しすぎるゆえに通常見送るような展開で約定したり、まだまだ伸ばすべきポジションを早めに決済したりしまわないよう注意する必要があると思います。
月末の23:59から1日の0:00までの1分と、1日の23:59から2日の0:00までの1分は、「月が変わる」という点を除いてどちらも同じ1分でしかありません。
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