精度の低いヒストリカルデータを向上させる
前回記事ではForex Tester(FT2)内のオプション操作でチャートデータの質を向上させる方法について記しました:
Forex Testerに導入するヒストリカルデータの時間軸修正と質向上に関する考察1
http://www.fxpriceactionlab.com/2017/09/forextester-hst1.html
今回はforexite社のデータの上にDukascopy Japan社のヒストリカルデータを上書きすることで短期時間足の質を向上させる手順について説明します。
ヒストリカルデータ ダウンロードの手順(JForex3、FT2)
今回はDukascopy Japan社の最新版取引ツールであるJForex3(図1)でforexiteデータを上書きするためのヒストリカルデータを取得し、Forex Tester 2に上書きするまでの手順を記述します。
図1 JForex3取引画面
①時間軸の設定(JForex3)
取引画面(図1)上部にあるメニューバーの設定→オプション設定をクリックしオプション設定画面(図2)を表示させます。
図2 オプション設定画面
プラットフォームの時間を「EET(UTC+2時間)」に設定します。
OKをクリックして終了します(変更することでOKボタンがクリックできるようになります)。
②ダウンロードする通貨ペアの指定とダウンロード (JForex3)
取引画面のメニューバーから表示→ヒストリカルデータ取得をクリックしてヒストリカルデータ取得画面(図3)を表示させます。
図3 ヒストリカルデータ取得画面
欲しいデータの銘柄の左側にあるチェックボックスをクリックすると、該当通貨ペアのヒストリカルデータをダウンロードすることが出来ます。その時にビッド、アスク両方にチェックが入りますが、どちらかだけダウンロードすれば問題ありません(私はビッドをDLしました)。
「時間範囲」は「カスタム」を選択することで、取得したい範囲を指定することができます(図3では「先週」を指定中)。一番古いデータが入っている銘柄で2003年5月からになっています(例:USDJPY)。データが少ない銘柄だと、2012年以降からのみの銘柄もあります(例:USDCNH)。
ひとまず存在する限りのデータが欲しい場合、始点を1990年のような昔に設定すると、全データからダウンロードできます。
「期間」は1分に指定します。
「ダウンロード設定」ボタンをクリックすると、ダウンロード設定画面(図4)が表示されます。保存するファイルの形式(HSTかCSV)と保存先を指定することができます(私はHST拡張子ファイルをDLしています)。
図4 ダウンロード設定画面
開始ボタンをクリックすると、指定した保存先にダウンロードが開始されます。複数銘柄を指定した場合、上から順にダウンロードされていきます。
なお、ダウンロードする時にデータが存在しない日付範囲を指定した場合(例えば1990年~1995年などとした場合)、図5のような画面が表れます。
図5 存在しないデータ範囲をDLしようとした際に出る画面例
③ ヒストリカルデータの上書き(Forex Tester)
Forex Tester(2)のデータセンター画面(図6)を表示し、更新したい通貨ペア(今回はEURJPYとします)を選択します。
タイムシフトを+3に設定し(forexite導入済み状態で既に+3にしているのであればそのまま)、「ファイルからデータ更新」ボタンをクリックし、図7の画面を表示させます。
図6 データセンター画面
図7 ヒストリカルデータを取り込むための設定画面
先ほどダウンロードしたヒストリカルデータを「取り込むファイルを選択」で指定し、保存先のパラメータの「取り込む通貨ペア」が指定した通貨ペアであることを確認します。
初期状態では「時間のシフト」が0になっていると思われるので「3」に変更します。この時、左下のチェックボックスにチェックが入ると思いますが、チェックを外してください。
※チェックをつけたまま上書きすると、既に保存されていたヒストリカルデータ(=forexite社のヒストリカルデータ)が消えます。逆に消したいという場合はチェックをいれたままにしてください。
次へをクリックすると取り込むヒストリカルデータのプレビュー画面(図8)が表示されます。
図8 プレビュー画面
取り込むをクリックすると上書きが始まります。
本操作による長所・短所
長所
前記事にも書きましたが、良質なヒストリカルデータを得ることができ、分析/検証の精度が向上が期待できます(図9参照)。
また、本手順を踏んで上書きを行った場合、夏時間の範囲に関しては日足が週5本になり、現在主流のチャートと同一の日足チャートが得られます。
(a) forexiteデータ(EURJPY 1分足)
(b) Dukascopy Japanデータ(EURJPY 1分足)
図9 ヒストリカルデータの上書き結果
短所
冬時間帯の日足が週6本になる問題が今回も解消されていません。
各手法における良し悪し一覧
前記事(手法1)と本記事(手法2)を組み合わせることで3パターンのデータを作ることができます。各パターンにおける良し悪しを表1に示します。
表1 各パターンにおける良し悪し一覧
作業時間はかかりますが、パターン3が最も良質な結果が得られます。
スキャルピングメインの場合パターン2でも十分問題ないと考えますが、スイング主体の場合出来る限り長期間のデータが欲しいところです。
本記事はこれで終了ですが、次記事では冬時間も週5本にする方法について考えましたので紹介したいと思っています。
つづき:Forex Testerに導入するヒストリカルデータの時間軸修正と質向上に関する考察3
(参考)Dukascopy Japan(デューカスコピー・ジャパン)社の紹介
序盤にも書きましたが、Dukascopy Japan社のヒストリカルデータをダウンロードするには口座開設(デモ口座でも可)が必要です。
ヒストリカルデータ欲しさだけならデモ口座で十分かと思いますが、他の「一般的な」国内ブローカーと異なり以下のような特徴があり、私自身メイン口座の1つとして17年9月現在使用しています:
・スイスの銀行デューカスコピー・バンク(Dukascopy Japanの親会社)が提供するECN(Electric Communications Network)を採用
→板情報(どのレートでどれだけの注文数があるか)が見られるなど、高い透明性を保持
・ディーラーを一切介さないNDD(Non Dealing Desk)方式
→スキャルピング取引に対して規制なし
その他特徴は以下のとおりです:
・取引通貨ペア48種類
→主要な通貨ペアは全て網羅
・JForexにて、Java言語を使用した自動取引が可能
→ヒストリカルデータを使用したバックテスト、最適化解析も可能
・クイック入金可能
→入金手続きからすぐトレードが可能
実際に使用して感想
JForexについて
取引ツールが専用のツール(JForex)であったため、取引前はその点が気になっていましたが(また一から使い方を覚えないといけないという意味で)、取っ付きやすいシステムで、チャートの操作や約定・決済・指値・逆指値注文等すぐに慣れることができました。
あと、どうでもいいようで個人的にはわりと重要だと思うのですが、UIのルックス(全体的なデザイン)が良いと感じており、気に入ってます。
JForex3(インストール版)の画面構成例。チャートの数や配置は任意に設定でき、自由度が高い
約定、注文スピード
クリック後すぐに取引が執行されます。約定速度は他の国内で早いと言われているブローカーと同等だと思います。
有事(指標発表系)、週明け時のスプレッド
私は新しいブローカーで取引する際、必ず主要通貨ペアの有事(価格変動が大きいとされる指標発表前後)や週明けのスプレッドを確認するようにしていますが、有事のスプレッドの広がり方は他の国内ブローカーと比較して同等かそれ以下というレベルで、週明け時のスプレッドは夏時間午前6時オープンのブローカーということを加味すると安定していると感じました(比較対象のブローカーが余りにもひどすぎるからかもしれませんが)。
強いてあげるならポンド系(特にGBPAUD)はやや広がる傾向がありましたが、どのブローカーにもいえる話かつ、他のブローカーよりも狭いという印象でした。
取引手数料について
Dukascopy Japan社で取引を行う際に挙げられる唯一にして最大の懸念点と思われる点が、ECN口座特有の「取引手数料が発生する」点だと思います。
手数料が100万円分の取引量あたり最大35円(片道)かかります。手数料は預金額や取引量に応じて変動します(多いほど安くなる)。
国内(相対取引)ブローカーで、特に低スプレッド通貨ペアであるUSDJPYやEURUSDに関しては、Dukascopy Japan社の「手数料を加味したスプレッド」が上回ってしまうことも多々ありますが、他の通貨ペア(具体的にはAUDUSDやスイスフラン、カナダドルなどが含まれる通貨ペア)に関しては 手数料を加味しても少し安いか同等くらいと感じており、「手数料取られるからイヤ」と感じることは今のところ一切ないというのが正直な感想です。
それ以上に透明性の高い(≒有事の際に急激にスプレッドが広がったりしない)取引環境が常に提供されているという安心が買えると考えたら、 相対取引のブローカーよりもいいかもと感じています。
その他(余談レベル)
キャッシュバック、取引手数料のディスカウントのキャンペーンがなされていますが、はっきり言うと「キャッシュバック目当てのトレーダーには到底キャッシュバック条件が満たせないであろう条件」であることから、実質ないと言っても良いかもしれません。
近年のブローカーは、とりあえず顧客を得るために高額で簡単な条件で満たせるキャッシュバックキャンペーンを実施している傾向がありますが、 キャッシュバックを実施できるということはそれを上回る見返り(業者側の利益)が後々得られるということを孕んでいます。
それが何を意味するかというのは割愛したいと思いますが、「闇雲に顧客を集めるためにキャッシュバックキャンペーンを展開していない」という点も、私がDukascopy Japanに対して好感を持っている理由のひとつです(=取引手数料で経営が成り立っている)。
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