ローソク足パターン考察 - ミクロダブルトップ

ローソク足パターン考察では、チャート上でよく現れるローソク足のパターンについてその状況や意味について考察します。

今回はミクロダブルトップ(mWT)について考察します。

高値からの反転パターンのひとつ

 一般的に言われる「ダブルトップ」は、数本~数十本からなる、高値形成パターンですが、「ミクロダブルトップ」は図1に示すように、ローソク足2本で構成される高値形成(高値揃い)パターンのことを言っています。2本ともそれなりの上ヒゲをともなっていることを特徴としています(ブルックスの本ではヒゲに関する記述はなかったかもしれません、むしろない方が良いと書いていたかも)。

図1 ミクロダブルトップの一例

 ミクロダブルトップは高値を2度試し、2度とも反発して引けたことを意味するため、状況によっては「上昇→下落(レンジ)へのトレンド反転パターン」のひとつとして解釈されています。

ミクロダブルトップの時間とレートの推移

 図1に示すようなミクロダブルトップの場合、時間の経過とレートの関係は図2のように考えることができます:

図2 ミクロダブルトップの時間とレートの推移

実際はもっと細かい動きがあったかもしれませんが(例:図3)、間違いなく言えることは「確認している時間足において、ある高値の地点で最低2回到達し、反発した」ということです。

図3 ミクロダブルトップ形成時に実際にあり得るレートの推移


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いろいろなミクロダブルトップ

 一言にミクロダブルトップと言っても複数のパターンが考えられ、それぞれのパターンでほんの少しですが解釈が変わってくると考えます。考えられるミクロダブルトップのパターンを以下に示します。

陽線→陰線のミクロダブルトップ

図4-1 陽線→陰線のミクロダブルトップ

(個人的には)ミクロダブルトップの王道のパターン。上影陽線から弱気の上影陰線の流れにより、高値を起点に反転しているように見える。

陰線→陽線のミクロダブルトップ

図4-2 陰線→陽線のミクロダブルトップ

 高値を2度つけて反発していることが確認できるものの、上影陰線→上影陽線の流れのため、ベアの強さが継続されていると判断していいものか少し迷ってしまうパターン。

2本連続陽線、2本連続陰線のミクロダブルトップ

図4-3 陽線→陽線と陰線→陰線のミクロダブルトップ

 2本連続陽線の場合、実体の長さの如何に関わらず上ヒゲが2本続く展開となっており、ブルの勢いが弱まりつつあるように見える。2本目の足が孕み足となるため、2本で構成される保ち合い(アセンディングトライアングル)調の波動が形成されていることが伺える。
 一方2本連続陰線は、高値地点でベア派がブル派を押し返した挙句、1本前の終値を下回って引けたことになるため(=包み足)、ベア派にとっては弱気のコンビネーション足パターンと解釈できそう。

2本とも実体が長いミクロダブルトップ

図4-4 2本とも実体が長いミクロダブルトップ

 (陽線→陰線は)実体が短い足よりも、明確に反転したように見えるものの、2本目の足が引けた時にはすでに高値から大きく離れているため、ミクロダブルトップをエントリーシグナルとする場合逆指値(損切りポイント)が少し遠ざかってしまい、不利なエントリーを強いられるパターン。

2本とも実体が短いミクロダブルトップ

図4-5 2本とも実体が短いミクロダブルトップ

 高値を2度つけたという事実は確認できるが、2本目の足が引けた時点でブル・ベアの勢力構図が見えにくい(ブル派が満足して引いたのか、ベア派が反転攻勢をかけているのか)。まだ右よりも左のほうが若干反転が決定づけられているよう見える(陽線→陰線のため)。

実体が短い足と長い足で構成されるミクロダブルトップ

図4-6 実体が短い足と長い足で構成されるミクロダブルトップ

 上図の場合、左側は3本構成の「三川宵の明星」の2本目までの形成に近い展開(宵の明星を形成するとしたら3本目は陰線)。2本目形成途中では大陽線が形成されているので、一時的には上影陽線→大陽線の構図となりブル勢力継続の感があったにも関わらず、最後はピンバー(反転足)となって引けたという展開から、まだ明確にトレンドが反転したとは言い辛いと考える。
 右側は陽線ピンバーに対し、安値を下回る陰線アウトサイドバーの上影陰線となっていることから、2本目高値近辺でベア派が動き、1本前の安値を下回ったあたりでブル派の退却を巻き込んでいるように見受けられる。

高値がわずかに下回ったミクロダブルトップ

図4-7 高値がわずかに下回ったミクロダブルトップ

 2本目の足において再度ブル派が高値更新を目指し攻勢をかけたものの高値に到達できずに下落してしまったことが見受けられ、勢力がベア派に移りつつある印象が伺える。ただ、2本目の高値が1本目に対しもう少し離れている場合、「まだ高値への試しの最中」と解釈することもでき、その判別基準が問われる。

高値がわずかに上回ったミクロダブルトップ

図4-8 高値がわずかに上回ったミクロダブルトップ

 ブル派にとってはまだ勢力が完全に失われていないと判断できそうなパターン(特に右側)。


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過去チャート振り返り

当サイト内で過去に分析したチャートから、ミクロダブルトップのパターンを振り返ってみたいと思います。

1. トレンドライン到達におけるプルバック

過去チャート分析 ポンド円(GBPJPY) 2015年1月 (6/6)より(付箋11)

図5-1 ポンド円15分足(2015/1/28~31)

図5-2 図5-1拡大

 上影陽線→陽線十字足のミクロダブルトップです(上記パターンの中だと陽線→陽線、実体が長い足と短い足で構成)。

 この2本の足の高値地点が、過去においてパターンブレイクおよびパターンブレイクプルバックを起こしたトレンドラインの延長線上となっており、反転タイミングとしての環境(根拠)が整っています。結果的にトレンドライン近辺でブル派の利食いとベア派の反攻が重なって反転を生み出したと考えられます。

2. トレンドライン(ブレイクアウトライン)近辺でのパターンブレイクプルバック

過去チャート分析 ドル円(USDJPY) 2016年11月 part1-2より

図6-1 ドル円15分足(2016/11/1~4)

図6-2 図6-1拡大

※当時のチャートよりも精度の良いヒストリカルデータを入手できたので画像を再作成しました。

 図6-1において、序盤からの下落から一度つけた安値(橙色水平線)に対するブレイクアウトおよび、トレンドチャネルラインに平行なライン(トレンドライン)に対するパターンブレイクプルバック時に発生したミクロダブルトップです。形成パターンは陽線十字足→上影陰線で、若干(1pipのみ)2本目の方が高値が低くなっています。

 1本目の十字足の前が大陽線になっているため、3本合わせると三川宵の明星に近いパターンにも見えます。根拠としては薄く感じますが、反転タイミングとしては水平線に対するプルバックおよび、トレンドラインに対するプルバックのタイミングと合っているため、ベア派にとっては反攻(俯瞰して見ると追撃)のシグナルとなり得たと考えられます。

3. 上昇途中におけるミクロダブルトップ

過去チャート分析 ポンド円(GBPJPY) 2015年3月 (3/5)より(付箋15)

図7-1 ポンド円15分足(2015/3/12~17)

図7-2 図7-1拡大

 ミクロダブルトップの形成にも関わらず反転しなかった例です。形成パターンは陰線→陽線の実体短めのパターンとなっています。

 過去の流れを見ると、大きな下落の波が2回続いた後の上昇途中である(第一波)のため、ミクロダブルトップによって形成された一時的な高値が、直近において下落の反転タイミングとなり得るだけの根拠として成立しなかった(上位足の上昇の波動が勝っている)ことが考えられます。

おわりに

 冒頭でミクロダブルトップがトレンド反転パターンであることを記述しましたが、ミクロダブルトップ→反転下落確定という過信はNGであることが過去チャートからもわかると思います。上位足やミクロダブルトップ形成前の波動を把握して、反転タイミングを伺うことが重要だと考えます。


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